イタリアワイナリー訪問ツアー報告 ①マリア・ボルトロッティ
March 10th, 2015

イタリアワイナリー訪問ツアー報告

①マリア・ボルトロッティ  ”コーラスワインを目指して”

3回目の訪問は、成田をでてから17時間後、日付も変わろうかという深夜。
ボローニャの空港に降り立ったのは生涯2度目。最新のランボルギーニが2台展示してある。かっちょいい~
案内人TAKEによるとフェラーリやドゥカティもこの町が本拠地とか。なんでも勤勉な方が多いらしい。
確かに…ここの当主フラビオはイタリア人らしからぬ物静かさで、たんたんとした方。
いつもそっと微笑んでいるんだな~。

【食べる】深夜なのになぜかお腹がすいていて、夜食タイム決行!
マンマの手作り「トルテッリーニ イン ブロード」はまるでスイトンのような母の優しさ。
合わせたファレスタルもあくまで優しく毛穴がブワーっと広がるような癒し感。
おねだりワインのナスコンデルシも複雑で味わい深く、チョコレートのプリンと相性抜群。
お腹も心も満たされて満足、満足。これでシャワーが水じゃなかったら…。

翌日は時差ボケで当然早起き、当然寝不足ですが、朝ヨガで心身を整えワイナリツアーに出発。
といっても宿泊している同じプロパティの中。
フラビオの家、そしてアグリツリズモの館の裏側に畑が広がっているのです。

って、さらっと書きましたがここがポイント!
家が近い。ということは畑の環境が人々の暮らしに直接影響するということ。
有機農業は環境保全であり、土地への愛情の表れ~そして住んでいるところを守る。
つまりは家族を守るということなんですよね。無理がない。だって当然だもの。
【畑にて】ここはボローニャのコッリ・ボロネージ。すごく暑いエリアで土も粘土層で、とても地力に満ちていると。
3万年の歴史がある土地で、地滑りがおきたこともないパワー大地。
確かにここのワインはパワーあるある。

画像のように高低差がとてもあり、同じ時間でも寒暖差が10度以上あることもあるらしい。
もちろん下のほうに白ぶどうを植えて、上のほうに黒ブドウを植えます。

足で感じる土壌は柔らかく、様々な下草が生えています。
下草をはやす意味はいろいろあるけれど、ここでは土地のパワーを使わせる意味もあるそうで、
すべてはバランスなのだなあと。

ここで飛びだしたのがこのツアーを象徴するキーワード“植物多様性”
畑を取り囲む木々、花々。そして共生する蜂や虫。すべてが少しずつ関わってワインを生み出している。

【ワイナリーにて】相変わらず、「ここかいっ!」と突っ込みたくなるような場所にある醸造施設。
完全屋外というのがいつ行っても仰天。

今回興味深かったのがスターターの話。ちょっと天然酵母パンを作る過程に似ていますよ。
畑のさまざまな場所からいろんな白ブドウをもってきてバケツ!!!で発酵させます。酵母はエリアによって違うので、酵母の種類を多くさせるために、いろんな場所から採取するのだそう。
発酵初めに頑張る酵母に名札がついているわけではないので、たくさん集めてそこから誰かに頑張ってもらおうという感じかな。で、その強力スターターを使ってそれぞれのブドウの発酵を安定させるのです。
通常のワイン造りではセレクション酵母といわれるパウダー状の加工品を使います。だって簡単だし、間違いないし。でも使いません。だってみーんな同じ味にしたくないから。
フラビオが信望するボローニャ大学の農学者チェッリ先生のお言葉『ワインは特定の土地を象徴するもの』。

なるほど。なるほど。     …フラビオが語りだします。
自分のワインはコーラスを目指しているんだよ。ソロシンガーが歌い上げる独唱ではなく、いろんな声がまざって心に訴えかけるようなワインにしたいんだ
でも、フラビオはその複雑さを醸造で作り出そうとはしません。果汁とともに皮を付け込めば複雑さは生まれます。でも彼はそれもヨシとしない。「複雑な味のワインをシンプルに作りたい」「ブドウが本来持っている複雑性や、土地を反映したワインを素直に作りたい
私はこれを全く勝手に“刺身発想”と名付けました。
繊細さと自然さの追及。加工されてはいけない。

【食べる&試飲】心待ちにしていたランチ。ここのマンマの料理は最高ですからね(^^♪

①   前菜Sfogliata du zucchine e fiori di zucca

ワインFalestar(Pignoletto)
*かぼちゃの花のパイのような前菜。ファレスタルのハニーな味すじと合う。泡がきめ細かく心地よいな~
ピニョレットは苦味のある料理と相性がよい。
②   パスタTagliatelle all’ortica con con asparagi
ワイン Mamolo(Pignoletto)2011
*これはすさまじくおいしかった。オルティーカは日本でいうところのヨモギ。またこのほのかな苦味がマモロと抜群。コトトワの野菜焼きにマモロが合うのがわかった気がする。

③   料理Tortiera di patate e asparagi&Ricottine infornate
ワイン Bosco(Pignoletto affinato in Legno)2011
ワイン Eligio(Sauvignon Blanc)2011
*オムレツみたいな家庭料理。とにかく野菜が豊富で癒される。2011ヴィンテージはとにかく暑い年だったらしいが、植物のバランスのおかげでやけた感じにはならなかったらしい。ボスコはこの濃さでしっかり辛口なのがすごいな。エリージョはSBだけどこの蔵を通した一貫した苦味がある。それがこんなに濃いのに後味すっきり感につながるんだろうな。
④   メインCrudita con salsa al basilico&Filetto arrosto in salsa di cipollotti con Patete sal, forono,
Carciofi trifolati.
ワイン Armando(Cabernet s.& Barbera)、Matilde(Barbera)
*肉、パン、そしてサラダ。ここでもアスパラガス。いや~元気でそう。この季節に来れてよかったな。
なんでもボスコはイタリア料理誌で「アスパラガスに合うワイン」として紹介されているらしい。
肉ももちろん赤身でストレスなし。アルマンドは以前カベルネs100%だったけれど、より土地に根付いているという理由からバルベーラを50%入れるようにしたそうですよ。赤ワインはふたつともなかなか濃くて手ごわいけれど、素直でシンプルだから飲める。刺身発想万歳!
⑤   デザートGelo di mascarporne con fragole
ワインDolcedo(Pignoletto)
*こんなに食べたのにデザートまで平らげてしまった。11月末の収穫でデザートワインは貴腐がつくこともあるらしい。フラビオの大好きな音楽をイメージしたラベル。モーツァルトだって。

究極の食材を求めて…熟成牛肉の旨味に酔いしれた猛暑日
July 22nd, 2010

出会いは新宿のとあるイタリアン。
メニューに「中勢以の熟成肉…」とある。
ん?熟成肉って??
私、普段はまったく肉に興味ないのですが
この時は思わず注文。
安くない価格でしたが…。

さて、食事がすすみ期待の熟成肉メインの登場。
「う、うまい。私が今まで食べてたのはなんだったの?」
「全く脂っこくないのに、すごく柔らかい」

それ以降ずっと気になっていました。
中勢以という言葉も耳に残ったまま。

そして7月19日(月)の定休日に思い切って
田園調布にある中勢以さんの店舗を訪ねてみました。
外は炎天下。うだるような暑さです。

nakasei-genkan246から自由通りに入り、ひたすらまっすぐ。
しばらく走った環八直前に
その優雅な店舗はありました。

隣のショップもなんだか
こだわりの食材屋さんみたい。
このあたりは都心から離れているのに
やたらとおしゃれですね。
…でも、あまりの暑さに散策は断念。
早速店内へ。

nakasei-jukuseiko店内は広くはありませんが
シンプルかつ、重厚な感じ。

まず目に飛び込んでくるのが
肉の陳列棚。
まるでワインのように優雅に
肉が並んでいます。

 

nakasei-nikucut

雰囲気に圧倒され、
更に、その価格に圧倒されつつも
来店の趣旨を伝え、
仕入可能そうな価格帯の
肉を紹介してもらいました。

 

 

 

nakasei-nikusouji

肉は丁寧に掃除され
余分な部分は
カットされていきます。

あーなんかもったいない。
その部分捨てるなら
ゴンルナにくださいな!
と思わず言いそうになりました。

しかし、さすが田園調布。
こんな豪勢なお肉を普通に買いに
来る主婦がいるんでしょうね。
「今夜はこちらにしましょうかしらぁ」
なんて言いながら。

nakasei-nikunama

これが出来上がり状態。

中勢以の肉は霜降りではありません。
あくまでも赤身肉が中心。
そこがいいと思いませんか?

だから脂っこくない。
でも低温熟成させているから

柔らかく
味に深みがあるのです。

さあ、試食用の肉を入手完了。
あとは急いで帰って焼くだけです。
nakasei-nikuyakiagari

Tipsy’sのスタッフへの試食用に
半分とりおきし、
残りの肉を焼いて食べることに。

今回はウチモモ肉2種類と
ソトモモ肉1種類。
不思議なことにそれぞれ
味わいが違います。

一番柔らかいのは、
やはりウチモモのいい部分。
でも∑はソトモモの肉っぽさに惹かれました。
味が濃い。旨い。絶対に店で出したい。
Tipsy’sのお客様に食べていただきたい。
あとは値段との相談です。

ただいま、中勢以の加藤店長さんと交渉中。近日他のお勧め部位を見るために
もう一度田園調布を訪れることになりそうです。

Tipsy’sでこの極上熟成肉が食べられるのは、たぶん9月ごろになると思います。
どうかご期待くださいね。
なるべく、カジュアルな価格にもっていけるよう営業努力します。

さて、最後に中勢以さんの店舗でいただいた
「中勢以の味」の一節をお読みください。

中勢以の品揃えは、赤身肉が中心です。
枝肉熟成された赤身肉は、
余分な水分を減らし、うま味を凝縮させ、
噛みしめる程い奥行きのある肉味へと変化します。
厳選された黒毛和牛を熟成させることで、肉には、
熟成香が生まれ、食感は程よい柔らかさに仕上がります。

究極の食材を求めて…「ストレスフリーの鶏が生んだ卵・臭わない鶏小屋」
May 21st, 2010
林の中に現れるログハウス

林の中に現れるログハウス

きっかけは2年前の新聞記事。食材のことなど殆ど記事にしない日経新聞にのっていた話題でした。
「餌は全て手作り」「平飼い」「野菜を食べる鶏」「ほとんど鳴かない」
気になるキーワードが満載。いつか行ってみたい…と記事を大事にとって
あったのです。
そして機が訪れました。今年のGW明けの5月7日、常磐道谷和原インターそばにある鶏林荘に念願の訪問です。
周囲のいわゆる農家とは全く異なる雰囲気を放つログハウスから出迎えてくれた名越さんに笑顔がありません。

あれ?大丈夫かな?歓迎されてない?
一見とっつきにくそうな印象を受けた名越さんでしたが
お話をさせていただくと、インテリジェンスとユーモアを併せ持った
魅力あふれる男性とわかりました。

比較的若い鶏がいれられている小屋 

比較的若い鶏がいれられている小屋 

さっそく鶏小屋を拝見。
新聞を読んだ2年前は時間をみては庭に出し、
鶏たちは大好物の蕪の葉などをついばんでいたようなのですが、
鳥インフルエンザの流行以降、保健所の指導で
小屋から出すのを固く禁じられているとのこと。
「出してやると鶏も喜ぶんだけどね」と寂しそうな名越さん。

でも、小屋は十分に広く、鶏たちは思い思いに時間を過ごしている
ように見えました。

名越さんが投げ入れたタケノコに群がる鶏たち

名越さんが投げ入れたタケノコに群がる鶏たち

鶏の餌は全て名越さんが毎日手作りしています。
国産(地元産)の麦、小麦、米ぬか、おから、石灰石、牡蠣殻
ビール酵母、海藻などなど。
それを朝ごはんとし、夕方は敷地内でとれた野菜を主に食べている
そうです。
なんとも贅沢なベジタリアン生活。
もちろん抗生物質も無添加です。
そして、ここまで説明されてふと気付いたのですが
全く鶏小屋が臭わない
のです。
鶏小屋=臭い、あの何とも言えない臭さを想像する方が
多いと思うのですが鶏林荘は無臭なんです。
「まあ、腸の調子からして違うと思うからね」と名越さん。

迷い猫だったトラ。今は名越さんと一緒に寝ている幸せ猫。

迷い猫だったトラ。今は名越さんと一緒に寝ている幸せ猫。

鶏林荘のアイドル?のトラちゃんは名越さんによって保護された
捨て猫でした。
今では一緒の布団で寝るほどの愛されよう。
説明をうけている間もずーっと名越さんの後にくっついて
甘えていました。

カップもソーサーも名越さんの作品です。

カップもソーサーも名越さんの作品です。

話がひと段落したところで、「お茶をいれますよ」
「コーヒー?日本茶?」私ははなからインスタントなら
コーヒーの方が簡単そうだから…と決めつけ
「コーヒーで」と答えると、「コーヒーならこちらです」
と倉庫の2回に案内されました。
そこは、名越さんの工房。趣味でやられていて、教室も開かれている
陶芸の部屋でした。ろくろも2つありました。
そこで、なにやら豆を手で挽き始めた名越さん。
えーっ?豆をひくところから?
こりゃあ、大変なコーヒーをお願いしてしまったと恐縮し
「日本茶って言えば良かったですね。すみません」と言うと、
「日本茶なら日本間でお茶をたてて差し上げるんです」と
切り返されました!参った。これぞおもてなしの心。

カメラを向けると恥ずかしそうにはにかむ名越さん

カメラを向けると恥ずかしそうにはにかむ名越さん

作品であるカップとソーサーがまた素敵ですよね?
どうしても欲しいという方も多いそうで、そういう方には
「5000円ですというんですよ」と本当か冗談かわからない
顔で話されていました。
ちょっとお邪魔するつもりが2時間ほど滞在し、いろいろな
話を聞かせていただきました。
そして、もちろん卵を購入。まずは味見ということで2パック。
周囲にはケージ養鶏をしている農家も多く
帰り道の街道沿いに店をだしているブロイラー卵も
味比べのために購入しました。

このカラフルな卵ケースも名越さんのオリジナル

このカラフルな卵ケースも名越さんのオリジナル

ところで、このかわいい卵ケース。
名越さんのオリジナルです。
卵同様、評判を呼び、ケース販売がもうひとつの
ビジネスに発展したそうです。

才能ある人って…。

卵は通常のLサイズよりやや大きめ。
不揃いなのも逆に美味しそうに見えます。

色の違いが歴然。黄色が名越さんの卵

色の違いが歴然。黄色が名越さんの卵

Tipsy’sに戻り、早速卵を割ってみました。
左が味比べように買ったブロイラー卵。
右の黄色が名越さんの卵。
もちろん本来の卵の色は黄色です。でも売れるのは
オレンジが強い方なのでしょう。パプリカなど赤色色素を餌に
混ぜることでなんとでもなるそうです。
今回は味見なのでシンプルにオムレツにしてみました。
味は…やさしい。
ひたすら優しい味わいです。まるで予め牛乳を混ぜておいたような
ミルキーさが感じられます。
淡泊ですが、いわゆる卵の臭みが全くなく、毎日でも食べられそう。
これは味にうるさいTipsy’sのお客様にも喜ばれること間違いなし。
6月の究極食材としてさっそく仕入れることにしました。

メニュー例(名越さんの卵を使った料理は6月1日からメニュー登場の予定です)
*リヨン風サラダ(名越卵のポーチ・ド・エッグ入り)¥945
*名越さんの卵のプレーンオムレツ デミグラスソース ¥945
*露地もの グリーン&ホワイトアスパラのボイル 名越卵のマヨネーズと共に ¥840