イタリアワイナリー訪問ツアー報告
①マリア・ボルトロッティ ”コーラスワインを目指して”
3回目の訪問は、成田をでてから17時間後、日付も変わろうかという深夜。
ボローニャの空港に降り立ったのは生涯2度目。最新のランボルギーニが2台展示してある。かっちょいい~
案内人TAKEによるとフェラーリやドゥカティもこの町が本拠地とか。なんでも勤勉な方が多いらしい。
確かに…ここの当主フラビオはイタリア人らしからぬ物静かさで、たんたんとした方。
いつもそっと微笑んでいるんだな~。
【食べる】深夜なのになぜかお腹がすいていて、夜食タイム決行!
マンマの手作り「トルテッリーニ イン ブロード」はまるでスイトンのような母の優しさ。
合わせたファレスタルもあくまで優しく毛穴がブワーっと広がるような癒し感。
おねだりワインのナスコンデルシも複雑で味わい深く、チョコレートのプリンと相性抜群。
お腹も心も満たされて満足、満足。これでシャワーが水じゃなかったら…。
翌日は時差ボケで当然早起き、当然寝不足ですが、朝ヨガで心身を整えワイナリツアーに出発。
といっても宿泊している同じプロパティの中。
フラビオの家、そしてアグリツリズモの館の裏側に畑が広がっているのです。
って、さらっと書きましたがここがポイント!
家が近い。ということは畑の環境が人々の暮らしに直接影響するということ。
有機農業は環境保全であり、土地への愛情の表れ~そして住んでいるところを守る。
つまりは家族を守るということなんですよね。無理がない。だって当然だもの。
【畑にて】ここはボローニャのコッリ・ボロネージ。すごく暑いエリアで土も粘土層で、とても地力に満ちていると。
3万年の歴史がある土地で、地滑りがおきたこともないパワー大地。
確かにここのワインはパワーあるある。
画像のように高低差がとてもあり、同じ時間でも寒暖差が10度以上あることもあるらしい。
もちろん下のほうに白ぶどうを植えて、上のほうに黒ブドウを植えます。
足で感じる土壌は柔らかく、様々な下草が生えています。
下草をはやす意味はいろいろあるけれど、ここでは土地のパワーを使わせる意味もあるそうで、
すべてはバランスなのだなあと。
ここで飛びだしたのがこのツアーを象徴するキーワード“植物多様性”
畑を取り囲む木々、花々。そして共生する蜂や虫。すべてが少しずつ関わってワインを生み出している。
【ワイナリーにて】相変わらず、「ここかいっ!」と突っ込みたくなるような場所にある醸造施設。
完全屋外というのがいつ行っても仰天。
今回興味深かったのがスターターの話。ちょっと天然酵母パンを作る過程に似ていますよ。
畑のさまざまな場所からいろんな白ブドウをもってきてバケツ!!!で発酵させます。酵母はエリアによって違うので、酵母の種類を多くさせるために、いろんな場所から採取するのだそう。
発酵初めに頑張る酵母に名札がついているわけではないので、たくさん集めてそこから誰かに頑張ってもらおうという感じかな。で、その強力スターターを使ってそれぞれのブドウの発酵を安定させるのです。
通常のワイン造りではセレクション酵母といわれるパウダー状の加工品を使います。だって簡単だし、間違いないし。でも使いません。だってみーんな同じ味にしたくないから。
フラビオが信望するボローニャ大学の農学者チェッリ先生のお言葉『ワインは特定の土地を象徴するもの』。
なるほど。なるほど。 …フラビオが語りだします。
「自分のワインはコーラスを目指しているんだよ。ソロシンガーが歌い上げる独唱ではなく、いろんな声がまざって心に訴えかけるようなワインにしたいんだ」
でも、フラビオはその複雑さを醸造で作り出そうとはしません。果汁とともに皮を付け込めば複雑さは生まれます。でも彼はそれもヨシとしない。「複雑な味のワインをシンプルに作りたい」「ブドウが本来持っている複雑性や、土地を反映したワインを素直に作りたい」
私はこれを全く勝手に“刺身発想”と名付けました。
繊細さと自然さの追及。加工されてはいけない。
【食べる&試飲】心待ちにしていたランチ。ここのマンマの料理は最高ですからね(^^♪
① 前菜Sfogliata du zucchine e fiori di zucca
ワインFalestar(Pignoletto)
*かぼちゃの花のパイのような前菜。ファレスタルのハニーな味すじと合う。泡がきめ細かく心地よいな~
ピニョレットは苦味のある料理と相性がよい。
② パスタTagliatelle all’ortica con con asparagi
ワイン Mamolo(Pignoletto)2011
*これはすさまじくおいしかった。オルティーカは日本でいうところのヨモギ。またこのほのかな苦味がマモロと抜群。コトトワの野菜焼きにマモロが合うのがわかった気がする。
③ 料理Tortiera di patate e asparagi&Ricottine infornate
ワイン Bosco(Pignoletto affinato in Legno)2011
ワイン Eligio(Sauvignon Blanc)2011
*オムレツみたいな家庭料理。とにかく野菜が豊富で癒される。2011ヴィンテージはとにかく暑い年だったらしいが、植物のバランスのおかげでやけた感じにはならなかったらしい。ボスコはこの濃さでしっかり辛口なのがすごいな。エリージョはSBだけどこの蔵を通した一貫した苦味がある。それがこんなに濃いのに後味すっきり感につながるんだろうな。
④ メインCrudita con salsa al basilico&Filetto arrosto in salsa di cipollotti con Patete sal, forono,
Carciofi trifolati.
ワイン Armando(Cabernet s.& Barbera)、Matilde(Barbera)
*肉、パン、そしてサラダ。ここでもアスパラガス。いや~元気でそう。この季節に来れてよかったな。
なんでもボスコはイタリア料理誌で「アスパラガスに合うワイン」として紹介されているらしい。
肉ももちろん赤身でストレスなし。アルマンドは以前カベルネs100%だったけれど、より土地に根付いているという理由からバルベーラを50%入れるようにしたそうですよ。赤ワインはふたつともなかなか濃くて手ごわいけれど、素直でシンプルだから飲める。刺身発想万歳!
⑤ デザートGelo di mascarporne con fragole
ワインDolcedo(Pignoletto)
*こんなに食べたのにデザートまで平らげてしまった。11月末の収穫でデザートワインは貴腐がつくこともあるらしい。フラビオの大好きな音楽をイメージしたラベル。モーツァルトだって。