カスッテリーナ続き
June 25th, 2010
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キャンティにあるカスッテリーナにはアグリツリズモとしての宿泊施設があって誰でも泊まる事ができます。

ただ今回は、人数が多いので一部の方だけがそこに宿泊し、Σを含めた他の方は更に山の頂上にあるB&Bへ。

夕べのディナーの後、部屋に戻り、シャワーを浴びて、さっさとベッドに潜り込みました…一時間くらいたったあたりで、奮えと共に目が覚めました。寒い!ものすごく寒いのです。なんかかけるものはないか探しましたが、ブランケットも見付からず…まずはさっき身体を拭いた湿ったタオルをかけました。少し寝るとまた寒さで目が覚めます。次は靴下を履いて、パーカーを着ました。それでもダメです。ダブルベッドだったので、ベッドカバーを半分に折ってかけます。ちょっと暖かい…でも眠りにつく寒さではありません。そんな事をしているうちに朝。 あー眠い。

でも、カスッテリーナの畑に行ったら眠気もぶっ飛びました。葡萄が太陽を浴びて元気です。案内してくれたファビオさんの片腕イバンさんは去年よりもパワーアップしています。

得に圧巻はアルベレッロの畑。足を取られそうになるほどの急斜面に株仕立てで、かつ、古代ギリシャの知恵を生かした植樹法。気を感じるとはまさにこの事。

この畑からのワインの味ですか?ふふふ、溶けてます。全てのテクスチャが融合、共存しています。

カスッテリーナの夜
June 23rd, 2010
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アッカディーアの続きを。
雨があがりかけたマルケ州を出発し、アペニン山脈を越えて、中田で名前を覚えたペルージャから再び高速に乗り、トスカーナに向かいます。

ワイナリー、しかも本物ワインを造るワイナリーが商店街のように並んでる訳もなく、移動が4、5時間かかるというのも、この旅の特徴です。

次第に空も晴れ、トスカーナの大地が見えてきます。トスカーナも丘陵地ではありますが、マルケ程、うねうねはしていません。どちらかといえば、平地とか、低い山に囲まれた盆地みたいな感じです。

アッカディーアの滞在時間が予定を2時間オーバーしたので、モンタルバーノにあるカスッテリーナに到着したのは8時。
またまたディナーは9時からとなりました。

昨年はなかったアグリツリズモの宿泊者向けのレストランは、素朴なのに洗練された雰囲気。

カスッテリーナの主役、ファビオさんを囲んでのディナーは、繊細なシェフの食事に感動し、ファビオさんの生き方、姿勢に感じいる3時間でした。

いくつかファビオさんの言葉を紹介します。「感謝を忘れない事。感謝は浄化であり、自分の意識を高めるためでもある」 …つねに自然への畏敬を忘れないファビオさん。
畑にいる全ての虫にさえ、敬意を払います。まるで日本の万物信仰のようですねと聞いたら、日本の事もちゃんと知っていて、だから日本の神道に興味があるんだと話してくれました。

「ワインはメッセージを運ぶためのツールです」。彼の自然に対する気持ちや、持続可能な農法、将来を見据えた畑作り。 そんな様々な思いを乗せて運んでくれるもの。皆さんはティプシーズやコトトワで、ファビオさんのメッセージ着きワインを楽しんでいたのですね。

Σも、今までは単純に、カスッテリーナのワインの美味しさについて、つまり、味と 農法についてお客様に説明してきました。でも、これからはもう一歩突っ込んで、ファビオさんのメッセージも少しずつ伝えていきたいなと思います。

ところで、8月上旬にカスッテリーナのファビオさんが来日します。都合が合えば、ティプシーズにも来ます! 詳細はまたブログやホームページ上で紹介していきますので、忘れずチェックしてください。

芸術とワイン その2
June 22nd, 2010

アッカディーア訪問記続きです。

試飲の後は奥様のマリアさんのおもてなしランチ。サラミとチーズに始まり、ペンネ、ターキーとサラダ、モモの赤ワインコンポート、ケーキと、昼からしっかりフルコース。

その全てが美味しい! なにもかもが潤いに満ちた味なのです。マリアさんが言っていました。「私たちは愛情を込めて全ての作物を作っています。だから美味しいんです」
当たり前の事のようで、難しい…ティプシーズやコトトワの皆は大丈夫かな。ちゃんと愛情込めて、料理を作り、サービスしているかな。

芸術とワイン その1
June 22nd, 2010
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Σが最初にアッカディーアのワインに出会ったのは、昨年秋の試飲会。なんの前知識なく臨んだ100のワインを順番にチェックしていく途中、「おやっ?」というワインにいくつか引っ掛かります。そんなワインは後でもう一度試飲し、価格と味わいのバランスを見てリストインさせるかどうかを決めます。

アッカディーアのコンショがその一つでした。
「やだ、何これ美味しい。しかも、安いじゃない」

その時は、まさか八ヶ月後に蔵元を訪問できるとは思ってもいませんでした…これも何かのお導き?

さて、前置きが長くなっちゃいましたが、そんなアッカディーア。ただもんじゃあ、ありませんでした。

ワイナリーがあるのは彼の農園の一部。養鶏もやり、オリーブオイルも作って、自然と共に、明るく元気な奥さまのマリアさんと暮らしています。

出迎えてくれたアンジェロさんからは、オーラがメラメラと出ていました。
達観してるというか、人生を満喫して生きてるというか。
見た瞬間、ちょっと泣きそうになっちゃいました。
アンジェロさんは現役の芸術家。ワイナリーの建物の中には、いたるところに、彼や彼の友人の作品がセンス良く飾られています。
今日は低気圧の影響で、外は季節外れの大雨、しかも気温が低く、寒いので、畑には行けませんでしたが、よく清掃された小さなワイナリーを見学。ワインタンクや熟成樽の横にも芸術作品が飾られて、今まで行ったどのワイナリーとも異なる独特の雰囲気。

「畑の味、土地の味、年の味をそのままワインにする事に心血を注いでいます」…本物を造る人は全く同じような事を口を揃えて言いますね。

彼のワインは白のベルディキオが中心です。コンソノ、コンショ、カントーリ、全て畑違いのベルディキオ100%の白ワイン。同じ敷地内で違いがあるのかと思いますよね?
…これが、あるんです。

コンソノはカジュアルな果実の楽しさ、コンショはミネラルと果実の融合、カントーリは圧倒的な果実の華やかさ。と、ここまでは普通の試飲でした。アッカディーアがすごいのは、これらのワインのビンテージものが飲める事。 いわゆる瓶熟ものです。「本当は白ワインでも、数年は瓶熟してから市場に出したいけど、生産量も少ない上に市場の要求でうらざるをえないんだ」なるほど、なるほど。 その味は…びっくりするほど、複雑味がでて、違うワインのようです。ベルディキオって、熟成させるとこんな事になっちゃうの?
…続きは、また。

ワクワクする
June 21st, 2010
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おはようございます。蔵元訪問三日目、マルケの北にあるアッカディーアに向かっています。ティプシーズでは、コンショという美味しい白ワインが人気!お値段も手頃なので、飲まれた方も多いのでは?
アッカディーアでは芸術と農業について、見聞きしてきます。

さてさて、昨日からお伝えしているクラーラマルチェリのマニュエルさんと、サンラッザロのパウロさんのワイン造り。造り方や、設備、出来上がったワインも、それぞれ個性的ですが、どちらのワインも素晴らしい事は同じ。そして、なんだかワクワクするのです。二人の葡萄作りへの姿勢や、マルケの土地に対する熱い思い、そして、ルックスも含めて迫力満点なんです。 エマニュエルさんは37歳、パウロさんは42歳でΣと同い年と、若く!?、これから、まだまだ進化していくだろうと思われます。

しっかし、同い年であの貫禄、リーダーシップ、余裕はどこからくるのか…。葡萄のようにしっかりマルケの地に根を下ろしているからかな。

3時間に及ぶ賑やかな晩餐の後、お別れするのが寂しく感じられました。
また、必ず訪れたい。そんな場所がまた一つ増えた南マルケの一日でした。

あっ、画像は名物の卵を練り込んだ手打ちパスタ。意外とさっぱり味でした。

マルケ万歳
June 21st, 2010
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クラーラマルチェリのマニュエルさんのお母さんがやっているレストランで、マルケの伝統食を満喫中。

サンラッザロのパウロさんに水を勧めたら、こう言われました。「L’AQUA FA MALE,E IL VINO CANTARE」
水はあなたを害する、ワインはあなたを幸せにする …。

さあ、今宵はティプシーズで幸せになってください。

最新設備は何もない
June 21st, 2010
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マルケは丘の町です。サンラッザロもなんとも眺めのいい丘の上にあって、この景色は古代から変わらないのじゃないか…と容易に想像できる場所。健全な葡萄栽培に不可欠なやや強めの風がずーっと吹き抜け、のびのびと育っている感じがしました。

シルベスター・スタローンに似たパウロさんも、また言っていました。「自分の仕事は健全な葡萄を作る事。いい葡萄さえ作れば最新設備は何もいらないのさ」。

ヤバい
June 20th, 2010
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生涯でサイコーの生ハム食べました! 原料はクラーラマルチェリの農場の豚さんと塩だけ。しかも、通常6ヶ月で出荷されるコブタですが、ここの豚は自然のどんぐりだけを食べながら、のんびり数年かけて大きくなった自然派です。

蔵元訪問二日目
June 20th, 2010
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おはようございますΣです。夕べは午後10時からイタリアンフルコースディナーという過酷な夕食でした。ホテルに戻ってきたのは夜中の2時。さすがにイタリア人も眠そうだった。

今日は夕べの過酷ディナーをご馳走してくれたサン・ラッザロとクラーラ・マルチェリ を訪問します。

マルケはオリーブの州でもあり、町中いたるところにオリーブの樹が。ホテルのオリーブも小さな実をつけていました。

フラビオさんの言葉
June 19th, 2010

マリアボルトロッティの訪問終了。いやあ、長居しました。かなりの蔵元訪問を果たしているΣですが、この長さはオリビエ・クザンに匹敵しますね。

フラビオさんは、農業学校の先生。ぶどう栽培のプロで知識も半端じゃあ、ありません。

そんな彼の説明は全てお知らせしたいような内容ですが、長くなるので、心に残った一言を。

「葡萄は僕が作る、でも、ワインは酵母が造るんだよ」

…自然派ワイナリーに行くとたびたび聞くのですが、乱暴に言ってしまえば、葡萄が全てという事です。「自分の仕事は畑だけで殆どが終わり、蔵ではやることがない」というような意味。

酵母についても、いろいろと解説してもらいましたが、ここでは省略です。続きは7月4日午後3時からの「イタリア自然派ワイナリーセミナー」を受講くださいませ。残席僅かです。

さて、次の言葉。「土地の記憶」…マリアボルトロッティの土地は何万年もの間、水による侵食や洪水などによる滞積がなく、純粋なまま残る赤土。そして、土地はその何万年の記憶を全て持っているのだそうです。1850年頃に大発生したフィロキセラ。表面上はいなくても、地中奥深い所に今も潜んでいらしい。なので、アメリカの台木を利用して、接木に使用しています。

……ワイナリーの食堂に昨年のツアーの皆で撮った写真が飾ってありました。昨年見えなかったもの、聞けなかった話が今年は聞ける。そして出される料理の本物感に圧倒される。息子さんの成長が見える。私、Σの身体にもしっかりと記憶が刻まれていくようです。

マリアボルトロッティのアグリツリズモには、ブログをご覧の皆さんも普通に泊まる事が可能です。ボローニャ近郊に行く予定があれば、組み込んでみては? マンマの食事に舌鼓をうち、止まったかのような時間の中で、自分を取り戻すエネルギーを得てください。そして、食堂の壁の写真にΣを見つけてくださいな。

さあ、次はマルケ。バスで4時間の移動です。